DUNE libartane

SOKO INTERVIEW

真のアーティスト精神を貫く、SOKOの素顔

日本では2017年6月3日から公開される映画『ザ・ダンサー』で、〝モダンダンスの祖〞として知られるアメリカ人の天才ダンサー、ロイ・フラーを演じるフランス人のSOKO(ソーコ)。映画内ではあたかも自分自身のダンスのように踊る彼女は女優のキャリアからスタートし、音楽活動も続ける。どこかフランス人のようでそうではない不思議な雰囲気も併せ持つSoko。〝私は典型的なフランス人ではないと思う〞と話す彼女だが、すでにLAを拠点にしてから10年経つことを考えても、自身の居場所がフランスではなく今やアメリカにあると言っても過言ではない。1985年生まれの彼女は現在、31歳。女優とミュージシャンという2つの顔を持つ彼女は、全く異なった姿で女優そしてミュージシャンとして活動する。時おり見せるあどけないその笑顔とエネルギーに満ち溢れた前向きな姿勢が印象的で、話している人を元気にさせてくれる。今回、そんなSOKOにインタビューすることができた。二足のわらじを履く理由、自分自身がアーティストとしてどのように存在すべきなのかなど、初主演を果たした映画に絡めながら語ってくれた。

演技と音楽のキャリアについて。なぜ、演技と音楽をやりたいと思ったのでしょうか?

SOKO(以降、S):私は5歳の時から女優になりたいと思っていたの。というのも、私が小さい頃に父親を亡くして、母がその悲しさから私を守るためにさまざまなことをさせたくれたから、それがきっかけになっているわ。例えばスポーツや演技、ピアノなど、いろいろとやったの。その中で、演技をすることが私のスタイルに合っていて、父を亡くした悲しさを忘れられる時間でもあったわ。演技をすることで自分自身を忘れることができるし、自分のことではなくて誰かのストーリーを伝えることができるから。それで、演技することに対して魅力を感じるようになったのよ。その後、16歳の時に家を出て、演技の勉強をするためにパリへ行ったわ。16歳から19歳までは演技のプロジェクトを主に行っていたんだけれども、演技で自分の世界観をすべて伝えられないし、自己表現をするという意味ではとても難しい。スランプではないけれど、演技に対する壁に少しぶつかった気がしたわ。それもあって、19歳の時、音楽を作ることで自分の世界観を表現できると思い、音楽活動を始めたの。ドラム、キーボード、ベース、ギターなどすべてをyoutubeで公開されているチュートリアルビデオを見ながら覚えたわ(笑)。それで、自分の世界観に没頭できるようになったし、そうしていくうちに、演技のことだけに拘らなくなっていったの。そう考えるようになったら、今度は私の音楽活動を知った人たちの方から〝この映画の主演をやってほしい〞というようなオファーがたくさんくるようになったのよ。ということは、私はもうオーディションにも行く必要がないし、音楽で私のことを知ってくれた人がたくさんいるので、そのおかげもあって演技をすることに対しての特権みたいなものを得ることができたの。私をミュージシャンとして知って声をかけてきているということだから、私を一人のクリエイターとして扱っているということよね。それってつまり、演技に対しても本当の意味でのクリエイターと一緒に働くことができるということなの。監督は私にしかできないことをやってほしいと思ってオファーをしてくるわけだし、誰でもいいわけじゃない。例えば、フランス人のブルネットであれば誰でもいい、といったことではないの。だから、演技をすることに対しての満足感、役に対する前向きな姿勢は以前とは変わってきたと思うわ。それから演技をすることがまた楽しくなってきたのよ。チームワークが好きだし、チームで一つのことを創り上げるなんて素晴らしいことでしょ?そんな感じで私は、演技と音楽の2つをすごくいいバランスで楽しんでいるのよ。

『LOVETRAP』『SweetSoundofIgnorance』などPVもかなりユニークな演出が印象的ですが、このようなスタイルを確立するきっかけになった理由はなにかあるのでしょうか?

S:特に理由とかはないけれど、自分で詩を書いて音楽を作っているのだから、そのストーリーを一番理解していることで、おもしろおかしくしてしまうんじゃないかしら。撮影するのも大好きよ。

自分の体よりも大きな衣装を動かして踊ることによって幻想的な前衛ダンスを生み出したロイ・フラーの伝記映画『ザ・ダンサー』へ出演することになったきっかけを教えてください。

S:監督のステファニー・ディ・ジューストとは2008年から知り合いで、かなり前からの付き合いよ。当時、彼女は私の写真を撮影していたんだけれど、その時に〝絶対にあなたのことを映画の主演としてキャスティングするわ!〞と言ってたの。それから6、7年くらい経って、彼女が『ザ・ダンサー』の話を私に持ちかけたわ。かなり秘密のプロジェクトだったけれど、その時にロイ・フラーのビデオを見せてくれて、そこで私は感動したの。クラシックのバックグラウンドがないのに、美しく力強いコンテンポラリーなダンスを踊る。そして、ダンスの世界を変える……彼女のその個性や生き方に魅了されたの。弱さはすべて強さに変わり、彼女は自分ですべてのことをした。服をデザインするのもダンスをするのも、すべて彼女が思うままにやり遂げた。彼女のように自分でショーの全てを手がけて、こんなに素晴らしいものを創り上げた人はいると思う?私も音楽を作ったり、ビデオを作ったり、演技をしたりするけれど、この映画は本当の意味でのアーティストを探る物語だと思うの。ロイはどんなに身体が壊れようとも精神的に追い詰められようとも最後まで踊り続けたのよ。

ロイ・フラーの生き方にあなたに似ていると思いますか?

S:いいえ、私だけに限ったことではなくて、彼女の生き方というものは何かを成し遂げようと情熱的になっている人、クリエイティヴな全ての人に共通していることだと思うわ。つまり、本当のアーティストというものは彼女のような人間を指すと思っているし、もちろん私自身の人生もクリエイティヴなものだと考えているわよ。

彼女を演じるためにしたことは?

S:彼女のことを知らなければいけないし、彼女の生活に少しでも近づけないといけなかった。私は朝早く起きて毎日5時間のダンス練習を2カ月のあいだ、暗い部屋で、そしてあの重いドレスを着て踊ったの。翌日起きた時には歩けなくなることもあったし、身体が痛くてうまく動けなかったり……実際にはドレスがそこまで重くないと思っていても、あれを纏って5分踊るだけでもかなり辛いのよ。でも、今回の映画の振付師がとても素晴らしいレッスンをしてくれたわ。彼女はロイの生き方を教えてくれたり、ロイの熱い思いを私に伝えてくれた。その後、監督のステファニーも「SOKOがロイの踊りをものにしたのであれば、あなたの動きを見せて」と話したの。私のダンス、私の精神、私の弱さ、私の強さ、すべてを見せてと。それで、全身全霊で踊ったわ。

映画が完成した感想を教えてください。

S:映画の撮影が終わったあとは、空っぽよ。まるで、抜け殻のようになってしまったわ。映画の撮影中は常にアドレナリンが出ていたし、毎日踊って汗をかいていたので、終了後は本当に変な感じがしたわ。毎日やっていたルーティンから抜け出すのだから。ある意味、ドラッグと同じよね(笑)。すごく辛くて、身体も変な感じがして、私自身もどうしていいか分からなくて。だから、走ることは少し続けていたの。今はもうしてないけれどね。

毎回、撮影の後は不思議な感覚になりますか?

S:私は同じ場所に居続けないじゃない?ほら、音楽を作ったり詩を書いたり、演技をしたりといろいろしているから。映画の時は毎回、パフュームを変えたりするの。その人がどのような人物なのかを想像するためよ。他にも自分の服を着るのをやめるとか、とにかくその映画の人物がどのような人なのか、というところに入り込むの。その結果、撮影の後は〝私は誰?何を着ていた?思い出せない〞なんてことがたくさんあるわよ(笑)。普通なら自分のお気に入りって必ず覚えているし、分かっているはずなんだけれど……もう自分自身を忘れてしまうの。でも、既に変わっているし、同じ人間になろうとも思っていない。毎回、違う自分でいいの。

あなたにとって〝演じること〞で大切なのはなんですか?

S:そうね、監督がどのようにしたいのかという思いを聞くことだったり、ちゃんとコミュニケーションをとって話す、映画がどうあるべきかということをきちんと話し合うことかしら。私を選んだということは私のことを信頼しているという意味だと思うから。だから、私も期待に応えるべきだと思うし、作品をよくするために努めるべきだと思う。常に相手に対して何でもできる、応えられる状態にあるということがベストだわ。

音楽で大切なことはなんですか?

S:オープンでいること、真実を伝えること。心地のいい音の全体の流れを作ってから、その音に言葉をのせることが大切だと思っているわ。

あなたのファッションポリシーを教えてください。

S:ちょっと変わった柄や色の組み合わせといったものが好き。奇抜な感じかしら。パンクとか80年代のロンドンで流行ったものが好き。The Cureが着ていたようなオーバーサイズスーツとか、音楽シーンから影響されることも多いわ。ハッピーにしてくれるような色もすごく好きだし、派手な感じで人々をも喜ばせてあげるようなヴィヴィッドなものが好き。全身黒だとちょっと暗く見えてしまうし、やっぱり自身が生きているということは派手な色で表現できると思っているし、これが私!ってそういう感じになるの。ブランドだとGUCCIやUNIF、ヴィンテージも好きよ。

アイコン、理想としている人は?

S:ミュージシャンはモリッシー、ロバート・スミス、トム・ヨークが好き。女優はその人が出演した映画から好きになることが多いけれど、ブリー・ラーソンが『ルーム ROOM』で演じた姿がとても印象的だったわ。

今後の予定や展望があれば教えてください。

S:今、3枚目のアルバムを制作中なの。うまくいけば、今年の夏にアルバムの中からシングルを何曲かリリースすると思うわ。ヨーロッパツアーも予定している。映画は今のところないのだけれど、自身が監督を務めようと動いているプロジェクトはあるわ。今年は音楽にフォーカスする年になりそうよ。

TEXT AND INTERVIEW BY KURUMI FUKUTSU