DUNE libartane

OLIVIER ZAHM INTERVIEW

オリヴィエ・ザームによる写真集『Olivier Zahm Diary』

スキャンダラスで官能的な夜の写真の数々をパープル誌の編集後記や彼のウェブサイトで見て、オリヴィエ・ザームという人間を想像してみる。ヌード、セレブリティーの甘美なナイトライフ、フェティシズム。彼の写真が語る言葉はストレートに快楽主義の深夜の放浪、はたまたアーバンワイルドライフのワンダラーと野性味を思わせる。登場人物たちは人生を謳歌しエレガント、かつその世界は手に届きそうな親密感をも纏っていて、どことなく不完全なところがとてもチャーミングだと、彼の写真を見る時にはそのように感じる。オリヴィエは80年代の後半からフリーランスライターとして、アートフォーラム等の美術誌に寄稿する他、ニューヨーク近代美術館でキュレーションを務めるなど、アートに深く関わっていた。その後、パープル誌をエレン・フライスと共に1992年に創刊。以来22年間に渡り雑誌を通じてコンテンポラリーアート、そしてファッションの第一線に携わり続け、テリー・リチャードソン、ヨーガン・テラー、リチャード・プリンスなど、各界の猛者達と紙面でクリエーションし続けている。彼がそのように世界を股にかけながらも大きな組織の一部になることなく、“インディペンデントマガジン”という形にこだわりを持ち続ける理由の一つは「手がけるもの全てに関わることに対し情熱を持ち続けているからだ」と、一番近くで働いているエグゼクティブエディターのキャロライン・ゲイマーリは言う。彼女の言う通り、彼の働きぶりはとてもきめ細かい。ウェブサイトの写真を一つ選ぶにしても、雑誌の編集、デザイン、印刷、また世界の写真家へアプローチするにも、どんなときも探究心に溢れ、全ての仕事を熟考し余すことなくこなすのだ。こうして今まで偉大な表現者達の代弁者としてバックステージから貢献してきたオリヴィエ・ザーム。その彼が自身の作品をまとめることによりアート、ファッションに携わる彼の周りの人間へのオマージュを捧げ、新しい時代の表現者としての新たな道筋を示した記念すべき一冊が完成した。

一番始めに本を作る話を聞いたのが、4年ほど前にロスのスタンダードホテルでした。あれからずいぶんと時間が経ちましたが、本の制作にあたり一番困難だった点を教えて下さい。

オリヴィエ・ザーム(以下OZ):この本を作るのに最も苦労したのは、10年間の自分が撮った写真を見返すこと。毎日100枚くらいは撮っているからね。それが1年365日で36500枚、そして10年となると、分かるでしょう?一晩女の子と出掛けて彼女の裸の写真を1000枚撮ることもあるわけだから、過去を徹底的に見返すことはとても激しく、エモーショナルなことなのさ。

O.Z Diaryのテーマを教えて下さい。

OZ:僕の撮る写真は殆ど夜の写真だから、ほとんどの人はこの本からナイトライフを想像するよね。しかしそうではないんだ。テーマになっていることは愛と美しさであり、それは自分にとってインスピレーションになっているもの。建築、ランドスケープ、アートワーク、友達、家族、そして裸の女性。この本にはパーティーの写真は含まれていないんだよ。

この本のインスピレーションの源となったものは何ですか?

OZ:日常です。僕は写真で自分の身の周りに起こっていることを表現している。たとえそれが依頼を受けたファッションストーリーであれ、広告であれ、総合的に自分の身に起こっているモーメントや親密でリアルな出来事を捉えようとしています。僕はメインアクターのフィギュアであり、これは僕の私生活の盗撮では無いんだ。そういう意味を込めて、自分の顔を表紙に載せることにした。ナルシストでは無く正直に、自分の写真の本質としてね。僕は他の人と変わらず、ただ人生を楽しみ、感謝し、祝っているのさ。良い写真とは普遍的なもの。僕の執念、願望、夢、欲求不満が写真を通じて見ることができるんだ。

あなたはいつ写真を撮り始めたのですか? きっかけになったことは何でしょうか?

OZ:10年以上前にカール・ラガーフェルドから、ソニーのサイバーショットという小さいデジタルカメラを貰ったんだ。すぐさま友達のアンドレとナイトライフマガジンを作り始めた。そしたら写真が良かったのですごく興奮したね。フィルムで写真を撮っている時の写真は酷かったので、これが契機となって厳密に一定の方法で撮影を始めたんだ。

あなたが写真を撮る際に、最も重要で注意を払っている点は何ですか?

OZ:僕の思う重要なことはその瞬間にあること。被写体と撮影している悦びを共有する為に、最新の注意を払い感情を読み取ることです。

あなたのモデルになる為にはどうすれば良いでしょう?

OZ:僕は自分の愛する人や影響を与えてくれる人を撮るのが好きだね。その人物をよく知ることは必要ではない。ただカメラの前にたっている人よりも、写真を愛しそれを考え感じながら被写体となってくれる人が好きだな。

あなたが夜出掛ける場合、お気に入りのバーは何処ですか?

OZ:僕はバーにはあんまり行かないんだよ! パリではパープルの隣にあるベル・エポック(ホールドキャバレー)という大きなブラッサリーに行きます。あとは友人のアンドレ・サバイラとトーマス・レ ントホールが70年代の古いクラブを再設計したカステルという所かな。ニューヨークではスタンダードホテルにある、ナルシッサスというレストラン。バウリーホテルのバウリーバー。そこではフレンドリーな友達にカジュアルに出会うことが出来る場所なんだ。

パープル誌を通じて日本人のアーティストたちと文化の交流を長年に渡り続けて来たあなたですが、刺激を受け作品に反映されることはありますか?

OZ:私の写真を見れば、僕がどれだけ日本のアバンギャルドな写真に影響を受けたか分かるでしょう。森山大道、荒木経惟などは僕のヒーローさ。そして、ホンマタカシと鈴木親は友人であり、僕は日本を心より愛しているのさ。ファッションではコムデギャルソン、日本の映画からは新堂兼人から北野武、日本のフェティズム、マンガやアニメーションそして日本の女性もね。

TEXT AND INTERVIEW BY KAZUMI ASAMURA HAYASHI