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CHLOE WISE INTERVIEW

異文化への隔たりを、繋げていく世代

ニューヨークを中心にサンディ・キムやペトラ・コリンズといった女性アーティストの活躍が目覚ましい近年、また新たな才能が目を覚ました。あらゆる手法を用いて表現される彼女の作品は、次々と人を魅了していく。彼女が繰り出す魔法は、当分解けそうにない。

幼少期はどんな環境で育ったのですか?

CHLOE WISE(以下、C):カナダのモントリオールで育ちましたが、実はアメリカの国籍も持っているんです。両親は偏見がなく、とにかく面白く何に対してもサポートをしてくれる親でした。そんな環境の中で育ち、モントリオールにあるコンコーディア大学というアートスクールに行ったのがきっかけなんです。

人生において、影響を受けたモノはありますか?また好きなアーティストはいますか?

C:日常の色々な光景のすべてから影響を受けてます。日常的に人が繰り返し使うモノであったり、街にある広告だったり、食べ物はもちろん、ファッションや現代美術にも影響は受けてると思います。好きなアーティストは、アリス・ニール、クレス・オルデンバーグ、マルシャル・レイス、エゴン・シーレ、ジョン・バルデザッリ、シンディ・シャーマン、フィリップ・ガストン、ロー・エスリッジ、トニー・マテリ、ライアン・トレッカーティン、ジェスパー・ジャストなどです。

作品の中で、食べ物を多く使っていますが、これはどのようなきっかけで始めたのですか?また食材は色で選んでいるのか、それともコンセプトに沿った食材を使用したのですか?

C:食べ物や花、宝石などの装飾品は必ずポートレートや静物画の談話として用いられるという背景もあります。ですが私の場合はそういった美術史の背景を参照するのと同時に、現代のファッションや広告なども多く取り入れたかったというのがきっかけだったと思います。また私は昔から、あらゆる物体がメディアを通して性的に表現されているなと強く感じていました。主に食べ物というのは、ファッションやポルノの世界を通じて性的な表現として提示されてきました。食べ物を使用することで性別の意義を表現、もしくは暗示することが多いですね。実際に作品を作る際には、過剰の象徴であったり繁殖力といったイメージに繋がるようにつとめています。また食材の色というのも、もちろん選ぶ上では重要なポイントであります。

一番好きな食べ物と一番キライな食べ物はなんですか?

C:好きな食べ物は、お肉、茄子、またポップコーンなど、たくさんありますが、嫌いな物はアンチョビぐらいです。

彫刻、映像、絵画など、様々な手法を使ってますが、どれが一番好きですか?また今後トライしたい手法はありますか?

C:基本すべて自分の好きな手法なので、あえて一番を選ぶのは難しいです。ただ現在一番興味がある手法としては、音楽とコスチュームデザインという分野に挑戦してみたいです。

ポートレートの作品も多く見られますが、キャスティングはどのようにされるのですか?

C:身近な親しい友人などを描くことが多いですが、強いインスピレーションを受ける顔や、自分好みの面白い顔をもつ人に出会った時は、迷わずキャスティングします。

どのような時に作品を作るのですか?そのための時間を毎日設定しているのですか?

C:毎日午前10時から午後10時ぐらいまでは、作品に向き合っています。仕事であるということもありますが、この世の中で一番好きな事をしているので全く苦ではありません。

自分の作品(作風)を一言で表すとなんですか?また自分の作品を通して、感じて貰いたい事はありますか?

C:正直、自分の作品を一言で表現するのは不可能です。観客には、ただただ混乱してもらいたいです。

ジェネレーションの違いを、感じる事はありますか?

C:私たちの世代は昔と比べ、異文化との隔たりを、繋げる準備が整って来ていると思うんです。私たち自身も既に、あらゆる問題に対して偏見なく円滑に理解していけるよう、訓練されて来ていると思います。

現在、構想しているアイデアやプロジェクトはありますか?

C:今こうやって話をしながらも次の作品に取り掛かっていて、ちょうど今ドローイングを始めたところです。Independent BrusselsとFrieze New Yorkのアートフェアに出展する作品を作っています。また9月にはパリのAlmine Rechで個展を控えているので、新しい作品に取り掛かるの が待ち遠しく、ワクワクしています。

TEXT AND INTERVIEW BY MASAKI NAITO
TRANSLATED BY RIBO AZUMAYA
Photographed by Logan Jackson